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映画の感想を淡々と書くブログ

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年 アメリカ映画)

監督:ニール・ジョーダン

 

■あらすじ

トム・クルーズ、ブラッドピット、クリスチャン・スレーター。そして、アントニオ・バンデラス共演、耽美的な吸血鬼伝説。

現代のサンフランシスコ。街を見下ろすビルの一室で、インタビュアーを前に美しい青年ルイが自らの半生を語り始めた。18世紀末、最愛の妻を亡くし、絶望の淵に沈む彼の前に現れた悪魔的美貌の吸血鬼レスタト。彼によって永遠の命を与えらたルイは、レスタトと共に世紀末の夜をさまよう。人間の命を奪うことをなんとも思わないレスタトに対し、人間の心を捨てきれずに苦悩するルイ。だがある夜、母の亡骸にすがりつく少女クローディアと出会ったルイは、衝動的にその命を奪ってしまう。彼女をヴァンパイアの一族に招き入れるべく新しい命を吹き込むレスタト。しかし、それは思わぬ悲劇の始まりだった!アン・ライスのベストセラーを「クライング・ゲーム」のニール・ジョーダンが映画化。永遠の命を生きるヴァンパイアの苦悩と孤独が、妖しく華麗な映像によって幻想的に綴られる。

Amazonより)

 

■評価

75点

 

■感想(以下ネタバレ)

 

 永遠の若さを手に入れながら、その奥に苦しみを抱く美しい吸血鬼の青年と少女。さながら萩尾望都の『ポーの一族』のような、思いっきりの「お耽美映画」であるのはあらすじからも伝わるだろう。実際原作は(私はまだ読んでいないが)耽美な雰囲気とキリスト教的背景が特徴であり、キャラクターの言動や結びつきに同性愛的描写を漂わせるの持ち味において『ポーの一族』との類似性が指摘されることもしばしばあるという。

 

 

 

 「お耽美」と言われると、華奢で繊細な、長い睫毛を持った中性的な吸血鬼像ではないだろうか。ところがどっこい。映画版『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』で美しき吸血鬼達を演じるのはなんとビラッド・ピット、トム・クルーズアントニオ・バンデラス………揃いも揃って屈強で情熱的な「男らしい男」達なのだ!(これはこれで逆に腐女子にウケそうな気もするが…)ブラピが演じる吸血鬼も情熱的でかっこいいのだが、お耽美な雰囲気から少し浮いてしまっているように見えて、少しコミカルに感じてしまった。ただ、トムクルーズは主演俳優の中でも一番筋肉質なイメージを持っていたのだが、彼に関しては良い意味で期待を裏切られた感じがする。

 

…かっこよくないですか??結構耽美じゃないですか??

彼が現代に復活するラストシーンはあまりにもクールで鳥肌が立った。

 

個人的にもっと見たかったな、と思ったのはこの二人だ。

母を失った少女と子を失った女の吸血鬼。彼女たちはあまり活躍せずあっけなく退場してしまうのだが、永遠に老いない吸血鬼の母娘、というモチーフはすごくそそられるので少し残念であった。

 

 キャストについて長々と語ってしまったが、内容は大変面白い映画である。永遠の美貌と引き換えに永遠の孤独を背負った吸血鬼たちの悲しみを、耽美かつクールに描いていた良い映画であると思う。『インタビューウィズヴァンパイア』私の大好きな映画の一つだ。

 半分は本気で、もう半分はネタとしてオススメしたい映画である。