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映画の感想を淡々と書くブログ

『ベイマックス』

      

『ベイマックス』(2014年 アメリカ映画)

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

 

■あらすじ

  かけがえのない大切な人を失った時、ぽっかりと胸にあいた穴はどう治せばよいのだろうか。最愛の兄を失い心に深い傷を負った14歳のヒロの前に現れたのは、何があっても彼を守ろうとする一途な<ケア・ロボット>ベイマックスだった。
 日本とサンフランシスコからインスピレーションを得た架空都市サンフランソウキョウを舞台に、壮大なスケールで描かれる二人の絆の物語は問いかける―「優しさで世界を救えるか?」と。素晴らしい奇跡が起こるその瞬間を、ぜひ大切な人と一緒に・・・。
ディズニー史上いまだかつてない優しすぎるロボットと少年ヒロの絆を描いた感動のアドベンチャー『ベイマックス』が、日本中を限りない優しさと感動で包み込む。 

(公式HPより)

 

■評価

65点

 

■感想(以下ネタバレ)

    

 

「日本ではハートフルドラマのように売り出されているが実はヒーローアクションである」という前評判を耳にしていたが、実にその通りの映画であった。

 13歳にして高校を卒業した天才少年ヒロと、「科学オタク」のさえない大学生達が彼らの兄、そして友人であったタダシの死をきっかけにスーパーヒーローとして覚醒する…………近年流行の「ヒーロー物」の王道とも言えるストーリーであるが、実際に『ベイマックス』の原作である"Big Hero 6"は、MARVEL社で刊行されたアメコミだというので納得した。「科学オタク」の大学生達が自身の専攻分野を生かした技で敵をなぎ倒していく姿にはワクワクさせられたし、悲しみを背負った「悪役になりきれない悪役」の存在もヒーロー映画の大きな魅力だと感じた。そして何より、ベイマックスのロケットパンチ!!これに胸躍らぬ日本人がいるのだろうか!

 …とはいえ『ベイマックス』はディズニーの映画だ。単なるヒーローアクション映画で終わるはずもない。唯一の肉親であった最愛の兄を喪い心に深い傷を負った少年ヒロ。不器用ながらも暖かい包容力と惜しみない愛情を注ぐケアロボットのベイマックス。二人の間に絆が生まれていく様子や、盲目的に復讐心に燃えていたヒロがベイマックスや友人たち、そして遺されたタダシの「心」を通じて少しずつ大人へと成長していく姿には思わず目頭が熱くなった。また、ベイマックスの挙動がいちいち不器用で間抜けで可愛らしくて、アンドロイドフェチの私はニヤけてしまうシーンが沢山あった。さすがはディズーだ。アクションとハートフル、そしてコメディ要素がうまくバランスをとっていた。あのディズニーがヒーロー映画を作るとこうなるのか、と妙に感心させられた。

  全体として先の展開は自ずと読めてしまうし、物語の整合性がとれていない部分もいくつか見受けられた。また、ベイマックスの言動が時折あまりにも「道徳的」すぎる点は、人工知能にこだわりのある私としては少し残念であった。しかし子供向けの映画に完成度を求めすぎるのはナンセンスだろう。それに、そとような点を差し置いても十分にワクワクし、楽しめる映画であった。「ディズニーのヒーロー映画」という一点においても一見の価値はあるとオススメしたい。

 

 

(観終わった後同行者がボソっとのこした「グレンラガンっぽかった」という言葉には大いに同意したいと思う)

 

見た日:2015/01/24

観た場所:渋谷TOHOシネマズ

見た人:Aちゃん